[A case of primary pulmonary malignant lymphoma].

肺悪性 リンパ腫はまれな疾患であ り,そ の予後 は比較的良好 とされている.今 回我 々は術前に原 発性肺癌を疑 って肺切除術を行い,術 後の病理組 織学的検索にて悪性 リンパ腫 と診断した症例を経 験 したので若干の文献的考察を加えて報告す る. 症例:73才,男 性.主 訴:胸 部X線 写真の異 常陰影の精査希望.家 族歴:特 記すべ きことな し.既 往歴:66才,急 性心筋梗塞.現 病歴:昭 和61年6月3日 の集団検診にて胸部X線 写真上右 上肺野に径約1.5cmのcoin.1esionを 指摘 され精査 のために当院入院.呼 吸器症状認めず.現 症:身 長157cm,体 重54kg,脈 拍60/min,血 圧104/58 mmHg,貧 血(一),黄 疸(一),表 在 リンパ節触 知せず,胸 部身体所見異常なし,肝 脾腫認めず. 入院時検査所見:血 液,尿 検査異常なし.胸 部 X線 写真上,右 上肺野に直径約1.5cmの やや境界 不明瞭な不整形の陰影を認める(図1).胸 部CT では,右S3aに 不整形の小結節状陰影 を認めたが 肺門,縦 隔 リンパ節の腫大を認めなか った.ま た, 腹部CTに て も腹腔 内 リンパ節 の腫大 を認 めな かった.気 管支鏡下 に右S3aの 擦過細胞診を行 っ 図1.胸 部X線 写真正面像